読んだやつ『社会はヒトの感情で進化する』
社会はヒトの感情で進化する
以前、欲しいものリストから贈って頂いた本。
当時、シノビガミのシナリオの資料としてこの辺りのテーマの本を集めており、それっぽい書籍を片っ端からリストりに放り込んでいた名残…だったと思う。よく覚えていない。
内容は、行動科学に関連する色々な事例を広く浅く紹介した、まさにシナリオフックと言った感じだった。
考察を深めるというよりちゃちゃっと雰囲気を知りたいだけであった自分にとってはありがたい構成だ。項目ごとに参考文献も掲載されているので、興味があるテーマはそれらの書籍を読めばいいわけで。
内容は(良い意味でも)大したことはない。問題は装丁。
まず表紙。
表題の「社会はヒトの感情で」までと「進化する」のフォントが変えられている。筆者はデザインに疎いので何か意味があるのかもしれないが、よくわからない。そして突っ込みどころはそこではない。
白字に黒文字、少し金色のシンプルな構成に蛍光ピンクのラインがオシャン…と思って開いてみると…
…様子がおかしい
高さを微妙に変えたダブルカバー……何故………?
折れて見えない側には作者のプロフィールが書かれていたが、上カバーも下カバーも内容は一緒だった。ちなみにピンクの下カバーのQRコードはリンク切れだ。
調べたところ、どうやらこの装丁はこの本に限ったことではなく、この出版社の他の本でも使われている形のようだ。
デザインだの装丁だの、そのあたりの知識がゼロなのでマジで何もわからないのだが、コストがかかっていることだけは分かる。
ここにコストをつぎ込んだ意味は分からないが、そういう一見無駄な感じのこだわり、嫌いではない…
この本は最近買った&読んだものではない。1年以上前に友人から贈って頂いた本だった。
先日はてなのお題で雑記を書き、ふと思い出して手に取り、やっぱこの装丁頭おかしいな(褒め言葉)…と思い、メモした次第。
諸行無常の人間関係、今後も手元に残ったこれを見るたびに、しみじみと思い出すのだろうな…頗るエモい……
読んだやつ『良い狩りを』
紙の動物園より『良い狩りを』
ケン・リュウ、という作家を知った。というか、教えて頂いた。
何の予備知識もなく買ってみたら…これは…良い………
ファンタジーと現実とサイエンスなフィクションの狭間をフワフワするこの感じ、心地良い……
『良い狩りを』
アニメだった、脳内でアニメ化した。アニメと言ってもこう…ちょっとおしゃれな絵柄の…
時間の流れ、移ろう時代、少年だった主人公が大人になっていく………
セピアが勝った少しノイズのある映像の色が変化していく感じ、魔法と科学の中間、スチームパンクにも似た雰囲気なんだが、使われている金属は真鍮というより青みがかった冷たい色でさ…イイネ……
ストーリー云々もなんだが、刺さるシチュエーションが複数あったので、また時間がたってから読み返して脳内アニメ化再上映したいと思った。
上手く言語化ができないので、読んだ人同士で脳内アニメを共有したい。
あまりにもフワフワしていて他人はもちろん未来の自分でさえ、これを読んで何かを思い出せる気がしない。
脳内映像共有の技術の進歩を待つばかりだ…
読んだやつ『赤』 と、ぼやき
『厭な物語』より『赤』
実のところ、140 字以上の文章が読めない。
3行以上の文は読んだ気になっているだけで、殆ど理解できていないと思っている。
長編は 勢いに乗ってイッキ読み or リタイア の賭けになるので、主に短編集を選ぶ。
しかもその中でもページ数の少なめの作品から好んで食っていくのだが
『赤』 リチャード・クリスチャン・マシスン
総ページ数 4ページ
4ページ、しかも文庫サイズ。年末調整の書類より少ない。これなら読める。読めた、オゥ…となった。
映像、音声、文字、表現の方法それぞれに特性があるが、文字だからこそできる「嫌な感じ」演出が好きだ。
「厭」を集めたアンソロジーであるので、勿論これも厭な物語。
嫌なことが起こるのはわかっているが、それに気づいてしまった時の「アッ……」←コレ、この感覚が良い。
その方法ならではのテクって、なんか良い。
自分はTRPGでやりたい事が浮かんだ時、なんでもかんでもシノビガミにしたがる癖がある。
これを機にそのシステムの良さを生かした何かが出来るようになると良いな、と思うだけは思った、多分やらない。
ちなみに、作品内で起こる出来事自体は全然よくない。大変、非常によろしくない。
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以下、ぼやき 「クズを患って」
当方、忍耐力がなく、地道な努力の積み重ねができない。
故に毎週×12回、30分間椅子に座り画面を眺めるのが億劫でアニメは続かず、ソシャゲは2週間で飽きる、2時間おとなしく座っていられないので映画は1.2倍速かける。
そんなクズという病を抱えながらも快楽には貪欲、楽して萌えとエモを得たい。
その欲望を満たすべく、最近たどり着いた方法が「読書」
時間を選ばない、予めページ数がわかっているのでゴールが明確、飽きたらそこでやめられる、読みたいところだけ読み、すっ飛ばしてもいい。
映像作品より妄想の余地が広く、自分好みをしやすい。
内容がよくわからなかったなら、ネットの海を適当に漁れば賢そうな人の丁寧な解説があるのでわかった気になれる。
その癖、あたかも真人間の趣味(オブラートに包むことなく履歴書に書ける)の扱いをされている
この趣味、なんだか得だし楽だ。
そういえば「萌えとエモ」って回文か…いとをかし
読んだやつ『愛はさだめ、さだめは死』 とフィアスコ
愛はさだめ、さだめは死
12本の短編+コラム?が入った短編集。その11番目がタイトルにもなっている『愛はさだめ、さだめは死』
タイトルのエモカッコよさに惹かれ、いの一番にそれだけ読み、「好き」に狂ってしまった。
一人称の語り形式だが、独り言に近い。少なくとも我々人間に向けて語り掛けているわけではなく、自己紹介も、状況説明も何もないまま始まる。
その為、主人公が一体何なのかが初めはわからない。
読み進める程に我々人間が知らない身体パーツ名、知らない単語が、彼らにとって当たり前のモノとしてポンポコ出てくる。
そこから想像していくことしかできないのだが…主人公が人間ではないナニかであることは確実だ、冒頭ですぐに判明する。
主人公の表現や語り口が独特であるということを除けば、内容は「バケモノの生態観察日記」のようなものだ。
途中から、なんとなくオチも読めてくる。衝撃の展開があるわけでもない。
だがそれは、我々が「人間」として彼の語りを聞いているからであって、彼らは何も知らないのだ…この差が…好きだ………
TRPGにおいても「PLは知っているがPCは知らない」という状況が好きな筆者にはご褒美、ありがとう…
この作品好きな方、TRPGの フィアスコ との相性が良い気がしている
ハロウ・ヒルさんのシステム。
最低3人くらいから、GMレス、短時間でも終わる(終わらせられる)し、やろうと思えば何時間でも遊んでられる、予定修羅民にも優しい仕様。
公式や有志でプレイセットが配布されており、何度でも同じもので遊べる。
癖が合うプレイヤー同士で君だけの楽しい地獄を錬成しよう!
『愛はさだめ、さだめは死』はそのプレイセット1本作れそうな気がする…
まぁ、今の筆者が何か作るとしたらなんでもシノビガミにしてしまうのでやらないが
異形のモノが「本能」に翻弄されながらもそれと戦い、愛を育む、そんなシチュエーションが好きな方、是非読んでくれ、そして筆者と卓をしてくれ…
読んだやつ『春にして君を離れ』
春にして君を離れ
先日Google検索で「小説 タイトル かっこいい」でググり、ひっかかったページを流し見していて気付いた。
アガサ・クリスティーの作品タイトル、カッコイイ…
アガサ・クリスティーと言えば推理小説作家のイメージが強い。
犯人探しだのトリック解明だの、脳味噌を働かせる読書とは縁遠いところで生きてきた為、推理小説作家というだけで敬遠してきたのだが
この作品、元はアガサ・クリスティーではなく「メアリ・ウェストマコット」名義。推理小説のジャンルではない、多分。
ネタバレすると、殺人は起きない。
かわりに心は殺される。(諸説ある)
優しい旦那、可愛い子供、理想的な家庭で完璧な妻/母親として生活を営む主人公、ジェーンの一人語りで話は進む。
進む、といっても大したことはおこらない。病気をした娘の見舞いの為に訪れたバグダッドを発った彼女が、イギリスの自宅にたどり着く、ただそれだけ。
旅は滞りなく進むわけではないものの、突然人が死ぬ!といった大きなイベントは一切起きない。ほんとに。
だがしかし、読み出し1/5で胸が詰まり、半分越えたあたりで心が砕けかけ、藁にすがる思いで駆け抜けた最後の最後のクロスカウンターで、情緒は無事にご臨終した。
常にしんどい、そして怖い。
つまらないわけではなく、むしろどんどん引き込まれていくが、読めば読むほどに背筋が凍っていく。
主人公の語りが、心の柔い部分をえぐりまくる。共感性羞恥、そんな言葉があったな、そう、多分そんな感じの…
何がどのように怖いのか詳しく説明しても良いのだが、それを知ってしまったら、初見で読んだときのしんどさが減るだろう。それはフェアじゃない。
興味を持った人間、読んで皆自分と同じ酷い目に合ってほしい、という私怨もあって、記事としてしたためているのだ、フェアに苦しんでほしい。
人間は…なんて残酷な生き物なんだ……(クソデカ主語
しんどい…だが、この読後感…嗚呼…と声が漏れるこの感覚…
きっとこの感覚を「エモい」とヒトは名付けるのだろう…エモ…
めちゃくちゃに人を選ぶ作品だと思われる。特に「そういう」家庭環境に覚えがあると、キツくなる描写が多々ある。
誰かがこの作品を読み、筆者と共に苦しんで欲しいとは思っているが、病んで欲しいわけではない。情緒には死んでほしいと思ってる。
筆者はこの作品が色々な部位に刺さってしまい、心の傷癒えぬまま、続けざまに同作者の作品を2冊衝動買いした。『終わりなき夜に生まれつく』『愛の重さ』の2冊だ。
たった3冊読んだ程度で作者の批評なんぞできやしない。
だが、少なくともこの3冊のアガサ・クリスティのジャンルは「闇のオタク」
絶対に、光ではない、絶対に。新たに出来た傷から噴き出す血に塗れたこの手で力いっぱい「闇のオタク認定判子」を押してやる。
しんどい、だが嫌いではない、いや、好きだ。
読んだやつ『天の光は全て星』 とシノビガミ
天の光は全て星
一部の界隈には名の知れたタイトルなのかもしれない。
『天元突破グレンラガン』の最終話のタイトルはここからとられている。
この作品を読んでからもう一度観返してみたが…1話から、嗚呼…という声が漏れたので、これを履修してからのドリリング、おすすめだ。
恥ずかしながら筆者、いい歳こいてSF小説を殆ど履修してこなかった。
「シノビガミのとある同人シナリオに出すキャラクターの奥義名をSF作品からとりたい」というクソくだらない理由で、短期間で3冊ほど読んだうちの1冊がこれだった。
表向きは冷めているが実はロマンチストな中年男性を作ろう!ということでそれっぽい作品&を検索した。
(以下、小説の何分の1くらいまではこんな内容である~といった構成ネタバレ)
正直に言うと、中盤までは退屈だった。序盤で引き込まれたものの、中盤は読み飛ばしてしまった。
筆者の中では SF小説=「近未来の、宇宙とかすげぇ世界で繰り広げられる物語」というイメージがあった。それもあって、自室と地上と今の生活を何よりも愛する故に今まで触れることが無かったのだが、この物語は地球の地上で進んでいく。
宇宙計画が下火になってしまった世界。元宇宙飛行士のオッサンの視界の端に、とある女性議員がかかげた木製探査計画という公約が映る。それを成功させようとオッサンが奮闘する…といったストーリー。興味を持った生きとし生けるモノは文庫の裏表紙/商品説明の概要文がめちゃめちゃエモいのでそれを読んでほしい。
このオッサン、かなりの宇宙フリークスで(作品内では「星屑」と呼ばれている)、走り出したら止まらない行動力の塊だ。筆者は感心すると同時にちょっと引いた。
主人公とよく絡む女性議員がこれまた魅力的な女性で、他登場人物も良いキャラばかりだ。
序盤~中盤というか4/5くらいまでは、そんなリア充オッサンの奮闘劇で、じめじめとした石の裏で出来るかぎり動かずひっそり生きる、陽のモノとは真逆の筆者は、素直に楽しめなかった。
のだが!
最後まで読んで、本当によかった…主人公、大好きだ……
生きる世界が違う陽キャだとちょっと嫌いになってすまなかった…確かに筆者とは別の種族だが…愛した……本当に……ありがとう………
この感覚を誰かと共有したい…
だが自分の能力ではこの余韻を…「良さ」を文字言葉で伝えられない……
宣伝力がパネェ、フォロワー10万人いる垢が欲しいと強く願った。
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1つ目は「たったふつの冴えた方法」(追加忍法/かばう&荒行)
2つ目は「天の光は全て星」(不死身)
になった。1つ目はもじりっているが、有名なアレである。どちらの作品の主人公も、宇宙に夢見るヒト(少女/オッサン)だ。
内容と結末を知っている筆者は「エッモ!!自分のセンス最強!!!」と1人で唸ったが、メンバーに両方読破済みの方はいない気がする。自己満足。
キャラはアルコール(変調)キめまくって朽木パンチで殴るだけの脳筋上忍。セッションが楽しすぎてドチャクソ引きずった、未だに引きずってる。TRPG、シノビガミ、タノシイ